うーん

「イマカラ!ワタシに行く〜!」携帯から聞こえてくる壊れた日本語。
きっと同じくらい壊れた韓国語で「明日、仕事だから…」と返すと怒鳴られた。
彼女は仕事には理解があると思っていたのだが、やっぱり付き合い始めて数ヶ月になるとお互いにワガママは隠し切れなくなってくるものなのだなと思った(今の彼女以前にはまともに付き合った女性は居なかったのでこういうのは初めてなのだ……)。
もっとも、俺のほうは自分がワガママなのは知っていたし、我慢できないのも解っていたので「俺は我侭だから」と予め宣告済みなのだが。
「アシタもアサッテも勉強だからアワナイ!」とキレられてしまった。
ちなみに彼女の日本語能力では言葉通り「(自分の意思として)会わない」と言っているのか「(理由によって)会えない」と言っているのかの区別がつかない。
困ってしまって「今どこに居るの?」と聞いても「シラナイ!」と。
今すぐ駆けて行けば彼女の機嫌が良くなるのは解っていた。
だけど、行こうとは思わなかった。
とっさに「常態化したら困る」とどこかで思っていたからだ。
でも、具合が悪いと言ったら駆けつけてくれた彼女を無下にあしらう事が果たして良いことだろうかと考え、後悔した。
ゴメンって何度か言ったけど、結局許してもらえたのだろうか?許してもらえていない気がする。
彼女の声は落ち着いたけど、それは僕の気持ちを理解してくれた声ではなく、悲しい諦めの声に聞こえた。
もしかしたら彼女の声は何かのSOSだったのではないかと思って心配になる。
必要としてくれている人を裏切るのは悲しい。
彼女がSOSをいつまで発信してくれるのかは、俺にも、彼女自身にも解らないのだから。
「イエに着いたら電話スル〜」と言って切られたのだが、後でもう一度かかってきたら、もう一度ちゃんと謝ろうと思う。