↑中間報告

完璧に心は決まった。この会社、すぐに辞める。
というか、辞めると言わなくても数日以内に解雇されるのが確実だけど。
こういう状況になると彼はとたんにその本性が出る。
彼は私を呼びつけて意味不明な揚げ足取りをはじめた。
本当に建設的な意味が何もない揚げ足取りなのだが彼は真剣で、
そしてこの揚げ足取りが本当に意味のあることだと確信しているようだ。
理由は簡単、責任転嫁の為だ。
彼は非上場企業の社長であり、会社の中では唯一の絶対権力者なので、
誰かに説明するための責任転嫁は本来必要ない。
それでも彼は責任転嫁をせざるを得ないのだ。
何故なら彼は彼の中では太っ腹で寛大で経営能力も高い完璧な人間でなければならないから。
何故か社員からは裏切られ続け、ここをスピンアウトした人で作られた会社は少なくとも数社はあり、一度は開発の終了間際にプログラマがプロジェクトのソースを持ち逃げして完成させたければ金を払えなどと脅されると言う、どう見ても深い恨みがある人しかされないような犯罪に巻き込まれているが、彼の中ではそれらは全て


運悪く悪い奴らを雇ってしまった


という説明で片付けられているのだ。
建設的な意味が何もないうえに理論が破綻した私への責任転嫁が始まった直後、
すぐにここまでの事は理解した。
つまりここで突けばネットスラングの意味の『ファビョる』のは確実(というか、既に半分ファビョってる)。
もうどうにもならなくて、何も言葉にできなかった。
この人、憐れだよね。
みんな出て行ったり逃げられたり何度も何度もそんなこと十年もやってて
それでもまだ気づかないんだから。