悟りは狂気

紆余曲折の思考を経て、辿りついた結論は狂気だった。


平和が一番、みんなが幸せな世界。
それがそもそも非現実的で無理がある話であって嘘だ。


だから政治家も宗教家も、本人にその気があるかどうかは別としてみんな嘘つきなのは当然だ。
どんな体系も無限に拡大し続ける事はできない。
飽和し、自身を維持できなくなり、破壊がある。


世界大戦が終わってずいぶん経った。
小さい頃から先生様方が言うところの平和とかいう時間が流れすぎた。
世界なのか、日本なのかはわからない。
とにかく飽和して、頂点の一部以外はみんな苦しい時代が来た。


だが一部の豊かな人が身を切り崩して他の者に与えない事を非難するのはおかしい。
それが生存競争だからだし、自分が貧しい者と同じになるまで与えた人はもう貧しいのだから、
富める者と貧しき者の差が無くなる事は人がいる限り絶対にない。


そろそろ間引きの時間が来ただけだ。
戦争は悲惨で苦しいのだろう。
だけど平和とやらも、長く続きすぎればその悲惨さを薄めて万人が味わわなくてはいけないだけだ。


体系というのは浮き島みたいな物なんだろう。
大きく、無様に肥え太ると水に沈む部分の比率が増えるだけなのだ。
悲惨さを一度に払うか、多くの人で長く味わうか、どちらかというだけの話に過ぎない。


みんなが幸せならそれが一番に決まっている。
だが、それはジレンマであって、解法はないのだ。


というのが、俺がとりあえず辿りついた結論であって、
我ながらこれは平和な時代とかいう時代に生まれた人間にとって狂気でしかないと思う。